【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
「“いい”っていうのは、否定的な意味じゃなくて。肯定的にとらえてもらえますか?」
「・・・・肯定的?」
「うん」
“有名人”
それは、どう考えたってあたしの場合、いい意味では使ってもらえない言葉。
こんな遠くの高校まで噂が広まっていたのは、正直、想定外。
『わざわざご苦労でしたね、あなたの噂好きには感銘しました』と噂を流した人に感謝状を渡してやりたいくらいだ。
でも、ここには本当のあたしを分かってくれる人が2人いる。
サヤと、先輩と。
その先輩が、大勢の前でこうしてあたしを知ってもらうチャンスを作ってくれたんだから・・・・。
「先輩、あたしも言う」
「は?」
「先輩だけにイイ格好はさせませんよ。あたしもみんなにちゃんと知ってもらいたい。だから先輩、そばにいて」
「ちぃーちゃんッ!」
今までは“どうせ”って諦めていたんだ、本当のあたしを知ってもらうことなんて。
いくら話しかけても、頑張っても頑張ってもダメ、そうして拒否されるたびに心にたくさん傷がついていって・・・・。