【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
「俺はホラ、ちぃーちゃんをコクレン部に引っ張り込むためにしたことじゃん? サヤちゃんとは根本的なトコが違うよ」
その気持ちを代弁してくれたのはおちゃらけ部長。
素直に“ありがとう”って感謝の言葉を言えないあたしのために、代わりにフォローしてくれる。
「そうかなぁ・・・・」
「そうだよ〜。ちぃーちゃんだってこんなブスッとしてるけど心じゃ感謝してんだから。ねーッ!」
「そうそう!サヤは下心であたしに近づいてきた部長とは全然違うんだから!」
「そう? あたしチカの特別?」
「当たり前だよ」
「そっかぁ!!!!」
ホッ。
毎回毎回、先輩がフォローしてくれて助かるよ。
あたしだけだったらサヤに何を言ったらいいか・・・・こういうのは苦手で、ちょっと分からないから。
「ちぃーちゃんッ!キミは俺のことをそんなふうに思ってたの!? ひどいじゃないかぁ〜!!」
でも先輩は下心っていう言葉だけは聞き捨てならなかったらしい。
ガバッとあたしの肩をつかんで、嘘だよねぇ!とガクガク揺さ振ってきた。