【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
ギェッ!!
それを言うんじゃないよサヤ!!
周りに聞こえるかもしれないじゃないっ!! てか、どんだけごう慢な女なんだあたしはっ!!
しかも“あまた”って。
「人聞き悪いこと言わないでよ。あたしは別に、そういうのにはまだ興味がないだけ。だいたい、そんなに数フッてない」
「ほぉ〜。この間もさっそく告られてたくせに?」
「サヤっ!!!!」
「あー、分かってる。分かってるよ〜、ゴメン」
・・・・ったく。
あたしが断る理由を知っているくせに、なんて親友だよサヤは。
義理も人情もあったもんじゃないし、しかもどこから仕入てくるんだそんな情報。
顔も知らない男子にいきなり告白されたって、あたしは一体どうしたらいいのさ。
まずはオトモダチからはじめましょう、とか言うべきだった?
そんな面倒なのあたしはパスだ。
「ま、とにかくさ、チカにはコクレンが一番合ってると思うよ。あたしはほら、依頼する側だから」
そう言うと、サヤは何食わぬ顔をして焼きそばパンの続きをモシャモシャ食べはじめた。