【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
『なぁんだ、あたしにもイラッときてたんだ〜。なによ〜、それってバッチリ好きなんじゃん!早く告白しちゃいなよ〜』
それを話すと、サヤは電話口で無責任にはやし立てる。
学校では常にあのおちゃらけ部長があたしたちのそばにいるため、こういう恋バナができるのは家に帰ってからだ。
「バカ!そんなことできるわけないでショ!!」
『え〜、なんでよ〜』
「なんでって・・・・。サヤも知ってるでしょ? 部則があんじゃん」
『でも、部員同士の恋愛については書いてなくない? チカ、もうちょい素直になったらどう?』
そうなのだ、コクレン部には先輩が考えた変な部則がある。
サヤが言いたいのは、部則の中のこの部分のことだ。
【依頼主と部員との恋愛は絶対禁止。万が一そうなった場合は、部員は速やかに退部、依頼主との恋を満喫すること】
サヤが言うように、部員同士の恋愛については何も書かれていないけど・・・・でもあたしは、う〜んと考え込んでしまう。
ただそういうことを想定していないだけなんじゃないか、と。
『チカ?』