【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
「・・・・あたし、どうしたらいいか分かんない。分かんなくて、今は何も考えらんない。ごめん」
「チカ・・・・」
「だって、今まで恋なんてしたことなかったから。コクレン部なんかに入っちゃったけど、人のアドバイスはできても自分のこととなると・・・・さ」
しばらく考えてみたけど、行き着いた答えは“分かんない”と告白に踏み切れない言い訳だった。
先輩のことは好きだし、一緒にいたいし、できることなら夏休みも毎日会いたい、デートしたい。
けど、やっぱりあたしは“部員”で先輩は“部長”だから。
・・・・そうなると、今の時点での答えは“分かんない”なんだよね。
「ごめんね」
「ううん。チカ本人にも分かんないんだもん、謝らないで」
「ありがと」
ぎこちなく笑顔を作ると、サヤも同じような顔をして笑った。
はぁ、恋って難しい・・・・。
そんな気持ちを抱えたまま、それからまた1週間ほどが経ち、週末からは夏休みに入るという週の月曜日のこと───・・。
校内に激震が走った。