【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
 
放課後の部活の時間。

いつもは何があっても必ずあたしより先に来ている先輩が、この日はなぜか部室にいなかった。

生徒指導の先生に“服装がだらしない”と呼び出しを受けてもフケてくるくせに、5分待っても10分待っても先輩は現れない。


部室で1人で待っている間、あたしはもしかしたら・・・・と、どんどん不安になってきた。

最近のあたしがあまりにも変なものだから、愛想を尽かされてしまったんじゃないか、って。


「違う違う!先生から今日は逃げれないだけ、そのうち来るよ!」


でも先輩は、今日も休み時間のたびに顔を出していたし、校内放送でも呼び出されていたから、その不安は声に出して否定した。

それでもどうしてか不安は拭い去れなくて、ますます大きくなっていくばかり・・・・。

30分待っても先輩が現れることはなく、再三、校内放送でも先生に呼ばれていた。


「もう・・・・。なんで来ないのよ」


何か連絡が入るんじゃないかと携帯を握りしめて待つだけのあたしが、なんだか滑稽に思えてくる。

そして、なぜか泣きたくなる。
 

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