【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
あたしはというと、やっぱりこんな部活は入る価値ナシ!と、雑なポスターを一睨みして却下した。
けれど、放課後───・・。
「吉岡千景サンッ♪ ちょっとお話いいですかッ♪」
生徒玄関で靴を履き替えていたら後ろから唐突に声をかけられた。
妙にリズミカルで、ワクワク感がたっぷりな声・・・・。
それに嫌々振り返ると、そこにはおちゃらけた格好の男子生徒が立っていて。
これまた、おちゃらけたポーズであたしのことを見下ろしていた。
明るめの茶髪のその人は、ブレザーの前をアホみたいに開けて。
不器用すぎてちゃんとした結び方ができないのか、ネクタイはリボン結び、しかも下手くそ。
体のどの関節を駆使したらそんな変なポーズができるのやら・・・・とにかく変な格好で。
顔はそこそこイイものの、全体的にアホな空気をまとっていた。
見たところによると、どうやら彼は上級生らしい。
何年生かは分からないけれど、上履きに入った赤のラインがあたしたち1年生のものとは違うから、とりあえずは上級生だ。