【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
先輩がケンカ?
あのおちゃらけ男が?
見るからに弱そうなくせして、なんでケンカなんか。しかも3年の人となんか・・・・。
「どうしようってさぁ、サヤ!! そんなの今すぐ止めに行かなきゃダメじゃない!! あのおちゃらけ男が上級生相手に勝てるとは思えないもん!」
『こんなときまで・・・・。チカってやっぱ毒舌だわ』
「うるさいよっ。そんなのいいから早くどこでケンカしてるか教えて!飛んで行くから!!」
サヤが電話の向こうであんまり泣きそうな声を出すからだってば。
だからあたしは、ほんのちょっといつもの調子が戻っただけ。
本当はあたしだって寂しくて不安で今まで泣いていたんだから・・・・絶対言えないけど。
『みんな屋上のほうに走ってくから、たぶんそこだと思う』
「屋上ね!分かった、ありがとサヤ。じゃあ電話切るから!」
『あっ、チカ!』
「ん?」
『ファイト!』
「おうッ!!」
何に対しての“ファイト!”だかよく分からなかったけど、そうしてあたしはサヤに元気をもらって屋上を目指した。