【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
こんなに弱い先輩が、どうして見るからに強そうな人を相手にケンカなんてしたのかは分からない。
どっちが先に仕掛けた、というのがあったのかも分からないし、もしかしたら最初からなかったのかもしれない。
でも、あたしには先輩に伝えなきゃならないことがあるから・・・・伝えたいことがあるから。
ここで死なれるのは困る!
「ちょっとアンタ、よくもうちの部長をボコボコにしてくれちゃったわねぇ・・・・。許さないよ!」
「ちぃーちゃん待って!」と動かない体を使って止めようとする先輩を無視して、そう言いながらあたしはゆっくり立ち上がった。
見据える先はコイツだ。
コイツだけは許さん!!
「な、なんだよ・・・・。ソイツが悪いんだろうが」
「なにソレ、そんなの関係ないわよ。先輩の代わりにあたしが相手をするって言ってんの。聞こえなかったのかしら?」
「・・・・で、できるのかよ、男相手にケンカなんて」
「できる!」
ていうか、できなくてもやるの!
前は先輩が守ってくれたの、だから今度はあたしが先輩を守るの!