【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
涙でぼやける視界の先で、先輩がヨタヨタと慌ててこっちへ駆け寄ってくるのが見えた。
ねぇ、先輩・・・・。
本気であたしがケガをしたと思っているの? 違うんだよ、嬉しくて泣いているのが分からない?
あたしを守ろうとしてくれた気持ちが嬉しくて泣いているんだよ?
「ちぃーちゃん!?」
「・・・・きなの」
「へ?」
「好きなの!先輩が!だから泣いてるの!あたしっ!!」
あ、言ってしまった。
勢いでつい・・・・。
泣きながらとか怒りながらとか、こんな雰囲気もクソもない感じで伝えるつもりじゃなかったのに。
どうせなら、依頼してくる子たちみたいにもっとかわいらしいヤツを、ちゃんとした告白をしたかったのに。
ていうか、言うつもりなんてちっともなかったのに・・・・。
「ちぃーちゃん、それ・・・・今のって、ホント?」
「ホントだよ、バカ」
「・・・・」
ああ・・・・。
いつの間にか大好きになっていたコクレン部、やめなきゃならなくなっちゃうのかな。