【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
校長先生の退屈なスピーチが終わって、クラスに戻って夏休みの課題を受け取って。
「起立、礼!」
「じゃあみんな、よい夏休みを」
今日で1学期終了。
ようやく夏休みに突入した。
「サヤ、帰ろ」
「え・・・・いいの?」
幸い、屋上でのケンカのことは大きな問題にならなかったようで。
あの3年生も先輩も注意を受けただけで処罰の対象にはならなかったと、そうサヤから聞いた。
先輩には、夏休み中の部活に出るかもまだ言っていなかったけど。
あたしが告白しちゃったから顔も会わせずらいし、どっちみち、もうコクレン部にはいられない。
だから・・・・。
「いいの。早く帰ろ」
「うーん・・・・。チカがそう言うんなら、あたしはいいけど」
何か言いたげなサヤの腕を引いてあたしは一番乗りで教室を出た。
サヤが言いたいことは、あたしにだって分からないわけじゃない。
でも、自分の中できちんと整理できるまでにはまだ少し・・・・。
ううん、夏休みの間くらいの時間が今のあたしには必要だった。