【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
先輩にそう言われて、恐る恐る薄目を開けて見てみるあたし。
オモチャの孫の手が嘘だったら、ぶっ倒れる勢いだったけど。
「な、なんだ、ビックリさせないでよもう・・・・。てっきりあたし、海に出たいもんだと・・・・」
伸びる手の正体は、どうやら先輩の言った通りのようだった。
てか、なんで持ってる!?
意味不明だわ、この人。
「ご納得カナ?」
「・・・・ええ、まぁ」
この衝撃的な出会いこそ、昼間サヤと話していた“コクレン部”部長との出会いだった。
おちゃらけていて、ツッコミどころ満載で、常にアホで、馴れ馴れしくて、ウザくて。
でも、誰よりも真っすぐな心であたしのことを見てくれる───・・
高瀬康介、との。
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