【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
◆部員は2人!?
───あれから少しして。
先輩とあたしは、なぜか校庭の隅にポツンと建っている、今にも倒れそうな物置小屋の中にいた。
プレハブ小屋だから、春だというのに熱気がこもっていて、おまけにホコリ臭いしカビ臭い。
「ここが仮の部室ネ♪ はぁ〜、どっこらしょと。ほらほら、ちぃーちゃんも座って座ってッ!」
「はぁ・・・・。てか先輩、仮ってなんですか? ココ、体育倉庫じゃないですか。学校からもハブられてんじゃねーですよ」
「ハハッ。ちぃーちゃんって、見かけによらずキツこと言うねー」
「うるさいですよ。もとからこういう性格なんです」
一瞬、こんなボロ小屋のどこに座ればいいんだと思ったけど。
先輩が自分の横にスペースを作ってくれたから、とりあえずそのマットに腰を下ろす。
走り幅跳びなんかで使う、あの緑色のマットの上だ。
「てか先輩、あと一つ、キツいついでに聞いてもいいですか?」
「なんでしょう?」
「あたし、いつから“ちぃーちゃん”になったんでしょう。やめてもらえませんかね、あだ名とか」