アリスズ
☆
翌朝。
おばさんに起こされた時、リサーは家にはいなかった。
菊と二人で外に出ると、彼は既に畑にいたのだ。
おじさんの素晴らしい畑と、他の畑を何度も何度も往復して、実の詰まり具合を確認している。
うなったりひねったり、ついには、あのリサーが──地面にはいつくばったのだ。
「……!!」
それには、景子が悲鳴をあげそうになった。
「おー…やるねぇ」
菊ときたら、本当に感心した声をあげる。
「な、何をしてるんですか!」
感心している場合ではない。
景子は、駆け寄りながらリサーを立たせようとした。
「土を、見ている。お前には見えて、私には見えていないものがあるのだろう? それを探している…邪魔をするな」
彼は、真剣そのものだった。
この謎を解明していくことこそ、アディマのためになる。
そう信じている目だ。
真面目なんだなあ。
リサーは、本当にアディマのため──ひいては、国のために頑張ろうとしている。
そのためなら、こんなメガネの女についても行くし、地面にも這いつくばるのだ。
景子も、彼の側にしゃがむ。
そして、土に手を突っ込んだ。
土を持ち上げて、手の中で崩して見せる。
おじさんの畑の土は、水をよく含んでいるのに、中はとても温かい。
たくさんの微生物が、活発に活動している証拠だ。
そんな景子の動きに、リサーはハッとした。
手が汚れるのも気にせず、彼も同じように土を握る。
その手のまま、他の畑へと向かい、もう一つの手で土を握ったのだ。
「………!」
両手を汚した男は、土の違いを身体で理解したのである。
そのまま立ち尽くす彼を、景子も菊も辛抱強く待ち続けたのだった。
翌朝。
おばさんに起こされた時、リサーは家にはいなかった。
菊と二人で外に出ると、彼は既に畑にいたのだ。
おじさんの素晴らしい畑と、他の畑を何度も何度も往復して、実の詰まり具合を確認している。
うなったりひねったり、ついには、あのリサーが──地面にはいつくばったのだ。
「……!!」
それには、景子が悲鳴をあげそうになった。
「おー…やるねぇ」
菊ときたら、本当に感心した声をあげる。
「な、何をしてるんですか!」
感心している場合ではない。
景子は、駆け寄りながらリサーを立たせようとした。
「土を、見ている。お前には見えて、私には見えていないものがあるのだろう? それを探している…邪魔をするな」
彼は、真剣そのものだった。
この謎を解明していくことこそ、アディマのためになる。
そう信じている目だ。
真面目なんだなあ。
リサーは、本当にアディマのため──ひいては、国のために頑張ろうとしている。
そのためなら、こんなメガネの女についても行くし、地面にも這いつくばるのだ。
景子も、彼の側にしゃがむ。
そして、土に手を突っ込んだ。
土を持ち上げて、手の中で崩して見せる。
おじさんの畑の土は、水をよく含んでいるのに、中はとても温かい。
たくさんの微生物が、活発に活動している証拠だ。
そんな景子の動きに、リサーはハッとした。
手が汚れるのも気にせず、彼も同じように土を握る。
その手のまま、他の畑へと向かい、もう一つの手で土を握ったのだ。
「………!」
両手を汚した男は、土の違いを身体で理解したのである。
そのまま立ち尽くす彼を、景子も菊も辛抱強く待ち続けたのだった。