アリスズ
☆
わあ。
景子は、その眩しさに目を細めた。
着物の女性も袴の人も、とてもとても鮮やかな光をまとっている。
若々しい証しだ。
一瞬では分からなかったが、二人とも多分高校生くらい。
そして。
二人は、とてもよく似た光の色をしていた。
魂の色がそっくりだったのだ。
姉妹なんだ。
景子は、袴の人も女性であると気づいた。
すらりと背が高く、髪も短いし凛とした顔立ちをしているが、まとう光の色が教えてくれるのだ。
こんな理屈を人が聞いたら、頭がおかしいと思われるかもしれない。
しかし、景子には『それ』が見えた。
子供の頃から、ずっと。
ただ、それを口にしてはいけないと、成長するごとに自分の身で知っていったのだ。
そうしなければ、この世界では生きていけないと。
子供の頃、よく花屋のおばあちゃんのところに泣きついていた。
『みんなが私を嘘つきっていうの!』
『みんな私を気持ち悪いって!』
『どうして、私にはこんな変なものが見えるの!?』
その度に、おばあちゃんは優しく、景子の天然パーマの頭をなでてくれたのだ。
『大丈夫だよ景子。お前に見えるものは、お天道様にも見えるものだ。お前は、お天道様と同じものが見える目をもらったんだよ』
おばあちゃんは、景子の見る力に『お天道様の目』と名前をつけてくれた。
大人になるにつれ、彼女もだいぶうまくその目と付き合えるようになってきたのだ。
が。
社会人になって、ついにドロップアウトした。
田舎の短大から都市の企業に出た彼女の目に、たくさんのつらいものが映ってしまったからだ。
それでノイローゼになりかけて、景子はこの花屋に逃げ込んだのである。
それが、彼女が花屋を継いだ理由。
そんな彼女の目に、姉妹が映る。
しかも、ただの姉妹ではない。
限りなく魂の色の近い二人。
前に、彼女はほんの数回、同じ体験をしたことがあった。
ああ、この子たち──双子なんだわ。
わあ。
景子は、その眩しさに目を細めた。
着物の女性も袴の人も、とてもとても鮮やかな光をまとっている。
若々しい証しだ。
一瞬では分からなかったが、二人とも多分高校生くらい。
そして。
二人は、とてもよく似た光の色をしていた。
魂の色がそっくりだったのだ。
姉妹なんだ。
景子は、袴の人も女性であると気づいた。
すらりと背が高く、髪も短いし凛とした顔立ちをしているが、まとう光の色が教えてくれるのだ。
こんな理屈を人が聞いたら、頭がおかしいと思われるかもしれない。
しかし、景子には『それ』が見えた。
子供の頃から、ずっと。
ただ、それを口にしてはいけないと、成長するごとに自分の身で知っていったのだ。
そうしなければ、この世界では生きていけないと。
子供の頃、よく花屋のおばあちゃんのところに泣きついていた。
『みんなが私を嘘つきっていうの!』
『みんな私を気持ち悪いって!』
『どうして、私にはこんな変なものが見えるの!?』
その度に、おばあちゃんは優しく、景子の天然パーマの頭をなでてくれたのだ。
『大丈夫だよ景子。お前に見えるものは、お天道様にも見えるものだ。お前は、お天道様と同じものが見える目をもらったんだよ』
おばあちゃんは、景子の見る力に『お天道様の目』と名前をつけてくれた。
大人になるにつれ、彼女もだいぶうまくその目と付き合えるようになってきたのだ。
が。
社会人になって、ついにドロップアウトした。
田舎の短大から都市の企業に出た彼女の目に、たくさんのつらいものが映ってしまったからだ。
それでノイローゼになりかけて、景子はこの花屋に逃げ込んだのである。
それが、彼女が花屋を継いだ理由。
そんな彼女の目に、姉妹が映る。
しかも、ただの姉妹ではない。
限りなく魂の色の近い二人。
前に、彼女はほんの数回、同じ体験をしたことがあった。
ああ、この子たち──双子なんだわ。