アリスズ
□
「待たれよ」
その兵士は、アディマ一行を呼び止めた。
「この道で不審な男に、何人かが斬りつけられる事件が起きている」
重々しい口調で、言葉を吐く。
そんな事件が?
アディマは、表情を曇らせた。
ここは、巡回も厳しい都からの道だ。
そんなところで、人斬りとは。
「そのため、剣を持つ者に、いくつか質問をさせてもらっている」
リサーは、ちらっとアディマを横目にで見た。
どうしますか?
そう、彼は聞いているのだ。
さっさと身分を明かして、先を進もうと考えているのかもしれない。
アディマは、首を小さく横に振った。
兵士も、仕事でやっているのだ。
問題がないと分かれば、すぐに通してくれるだろう。
「そこの大きな男」
一番最初に呼ばれたのは、ダイだった。
当然な順序だろう。
髪も短く、力も強そうで、更に剣をさげているのだから。
ダイは、ゆっくりと兵士の方へと進み出た。
刹那。
ダイの背中の下側に、何かが飛び出した。
長細い──刃。
血が、その切っ先からしたたる。
「……!」
瞬間的に、リサーの背がアディマをかばった。
その肩越しに見る景色の中。
ダイは。
倒れなかった。
その大きな両手で、兵士の両肩を砕くほどに強く握り上げたのだ。
相手は、その手から逃れ、細長い剣を引き抜こうと必死で暴れた。
その度に、ダイの背中から血が噴き出す。
だが。
ダイは、男を自分から離さなかった。
そうしていれば、決してアディマに害が及ぶことはないのだとでも言うかのように。
「待たれよ」
その兵士は、アディマ一行を呼び止めた。
「この道で不審な男に、何人かが斬りつけられる事件が起きている」
重々しい口調で、言葉を吐く。
そんな事件が?
アディマは、表情を曇らせた。
ここは、巡回も厳しい都からの道だ。
そんなところで、人斬りとは。
「そのため、剣を持つ者に、いくつか質問をさせてもらっている」
リサーは、ちらっとアディマを横目にで見た。
どうしますか?
そう、彼は聞いているのだ。
さっさと身分を明かして、先を進もうと考えているのかもしれない。
アディマは、首を小さく横に振った。
兵士も、仕事でやっているのだ。
問題がないと分かれば、すぐに通してくれるだろう。
「そこの大きな男」
一番最初に呼ばれたのは、ダイだった。
当然な順序だろう。
髪も短く、力も強そうで、更に剣をさげているのだから。
ダイは、ゆっくりと兵士の方へと進み出た。
刹那。
ダイの背中の下側に、何かが飛び出した。
長細い──刃。
血が、その切っ先からしたたる。
「……!」
瞬間的に、リサーの背がアディマをかばった。
その肩越しに見る景色の中。
ダイは。
倒れなかった。
その大きな両手で、兵士の両肩を砕くほどに強く握り上げたのだ。
相手は、その手から逃れ、細長い剣を引き抜こうと必死で暴れた。
その度に、ダイの背中から血が噴き出す。
だが。
ダイは、男を自分から離さなかった。
そうしていれば、決してアディマに害が及ぶことはないのだとでも言うかのように。