アリスズ
☆
杯は、弾き飛ばされた。
ロジューによって。
身体が、突然動かなくなった。
ダイの強い力によって。
あれ? なに?
景子の視線の先のロジューが、怒りに震えていた。
その怒りを、一切隠さずに彼女の目の前までやってくるのだ。
長い指が、ぐいっと顎を持ち上げて景子の目を覗き込む。
「随分…回りくどい手に出てきたな。知恵が回るではないか」
髪を──引き抜く。
褐色の手が、金色に燃え上がる。
びくぅっと、景子の身体は震えた。
その火が、こわくてこわくてしょうがない。
暴れて逃げようとするが、ダイの腕は決して彼女を離しはしない。
「忘れさせる魔法はないがな…」
燃え上がる手を、ロジューは景子の目へと近づけてきた。
それだけで、焼けるように熱かった。
メガネが、跳ね飛ばされる。
ストラップのおかげで、床まで落ちることはなかったが、そんなことに景子も構ってはいられなかった。
「人を操る魔法は…あるんだよ!」
ジュウッ!
ああああああああああ!!!!!
痛い、痛い、痛い!!!
網膜の奥まで、焼き尽くされる痛みでいっぱいになる。
だが、それだけでは済まなかった。
痛みに奇妙な声しかあげられない景子の口に、何かが突っ込まれたのだ。
「水に毒など入っていない…そうだろう?」
暴れる景子の口に、なまあたたかく容赦ない大きな物。
それが、遠慮なく口の中を探るのだ。
勝手に動きまわる、乱暴な指の感触だった。
その手を、彼女が目の痛みの反射で噛んでしまったとしても、まったく引く様子はない。
「口の中に、毒の石を仕込んだのだろう? ああ、本当に頭がいいな」
景子の口内から、粘膜ごと何かが引き剥がされた。
なに? なにがおきているの?
このアディマの叔母に──私は、何をしようとしたの!?
杯は、弾き飛ばされた。
ロジューによって。
身体が、突然動かなくなった。
ダイの強い力によって。
あれ? なに?
景子の視線の先のロジューが、怒りに震えていた。
その怒りを、一切隠さずに彼女の目の前までやってくるのだ。
長い指が、ぐいっと顎を持ち上げて景子の目を覗き込む。
「随分…回りくどい手に出てきたな。知恵が回るではないか」
髪を──引き抜く。
褐色の手が、金色に燃え上がる。
びくぅっと、景子の身体は震えた。
その火が、こわくてこわくてしょうがない。
暴れて逃げようとするが、ダイの腕は決して彼女を離しはしない。
「忘れさせる魔法はないがな…」
燃え上がる手を、ロジューは景子の目へと近づけてきた。
それだけで、焼けるように熱かった。
メガネが、跳ね飛ばされる。
ストラップのおかげで、床まで落ちることはなかったが、そんなことに景子も構ってはいられなかった。
「人を操る魔法は…あるんだよ!」
ジュウッ!
ああああああああああ!!!!!
痛い、痛い、痛い!!!
網膜の奥まで、焼き尽くされる痛みでいっぱいになる。
だが、それだけでは済まなかった。
痛みに奇妙な声しかあげられない景子の口に、何かが突っ込まれたのだ。
「水に毒など入っていない…そうだろう?」
暴れる景子の口に、なまあたたかく容赦ない大きな物。
それが、遠慮なく口の中を探るのだ。
勝手に動きまわる、乱暴な指の感触だった。
その手を、彼女が目の痛みの反射で噛んでしまったとしても、まったく引く様子はない。
「口の中に、毒の石を仕込んだのだろう? ああ、本当に頭がいいな」
景子の口内から、粘膜ごと何かが引き剥がされた。
なに? なにがおきているの?
このアディマの叔母に──私は、何をしようとしたの!?