アリスズ
□
アディマは。
ずっと、ケイコについていることはできなかった。
「大丈夫だから、もう行っていいぞ」
多くの毒を消し、峠を越したケイコを前に、叔母はそう言う。
まだ、祭は続いているのだ。
一日に、何度か訪れる祭の儀式を、アディマはやらなければならない。
まもなく夕暮れになる。
日が沈む前に、夜も太陽が照らすのだという儀式を、父とせねばならなかった。
せめて。
彼に出来る精いっぱいのこととして、ダイを扉の前に置いていくことしかできない。
これから。
叔母が、彼女を囮に使うというのに。
たとえダイでも、イデアメリトスの魔法の前では無力なのだ。
だが。
アディマは、彼に言った。
ロジューと自分以外の、イデアメリトスを見たら、犯人だと思え、と。
彼の言葉を、決して軽んじないダイの機転と、叔母の魔法の力に賭けるしかなかった。
そんな、アディマの日暮れの儀式の場に。
本当は来る必要のない叔母の姿を見つけた時、本当に驚いたのだ。
ケイコを置いてきたのか、と。
しかし。
彼女が、そんな馬鹿な真似をするとは思えなかった。
おそらく、こちらは魔法の姿。
既に、叔母の囮作戦は始まっているのだ。
彼女は、部屋にはいない──それで、敵を釣ろうというのか。
アディマの胸には、怒りと苦しみと嘆きが詰まっていた。
叔母の命を狙い、ケイコを巻き込んで殺しかけた、同族がいる。
もはや。
もはや、アディマはその同族を許すつもりはなかった。
たとえそれが──誰であったとしても。
アディマは。
ずっと、ケイコについていることはできなかった。
「大丈夫だから、もう行っていいぞ」
多くの毒を消し、峠を越したケイコを前に、叔母はそう言う。
まだ、祭は続いているのだ。
一日に、何度か訪れる祭の儀式を、アディマはやらなければならない。
まもなく夕暮れになる。
日が沈む前に、夜も太陽が照らすのだという儀式を、父とせねばならなかった。
せめて。
彼に出来る精いっぱいのこととして、ダイを扉の前に置いていくことしかできない。
これから。
叔母が、彼女を囮に使うというのに。
たとえダイでも、イデアメリトスの魔法の前では無力なのだ。
だが。
アディマは、彼に言った。
ロジューと自分以外の、イデアメリトスを見たら、犯人だと思え、と。
彼の言葉を、決して軽んじないダイの機転と、叔母の魔法の力に賭けるしかなかった。
そんな、アディマの日暮れの儀式の場に。
本当は来る必要のない叔母の姿を見つけた時、本当に驚いたのだ。
ケイコを置いてきたのか、と。
しかし。
彼女が、そんな馬鹿な真似をするとは思えなかった。
おそらく、こちらは魔法の姿。
既に、叔母の囮作戦は始まっているのだ。
彼女は、部屋にはいない──それで、敵を釣ろうというのか。
アディマの胸には、怒りと苦しみと嘆きが詰まっていた。
叔母の命を狙い、ケイコを巻き込んで殺しかけた、同族がいる。
もはや。
もはや、アディマはその同族を許すつもりはなかった。
たとえそれが──誰であったとしても。