アリスズ
☆
腰が。
思いのほか、治らずに苦労した。
しかし、景子はおとなしく寝ていることが出来ずに、よろよろとジャングルに向かうのだ。
まだ、温室用の植物の選定は、さっぱり終わっていないのだ。
立ってうろつくと危ないので、ジャングルの中では、座り込んで作業を始める。
どうせ、はいつくばるくらいのことはする予定だった。
この態勢の方が、楽かもしれない。
背の低い株を選びながら、目印の紐を巻いていく。
腰がもう少し治ったら、この株を掘り出そうと思ったのだ。
さすがに、誰か人の手を借りないといけないなあ。
紐を結びながら、景子がうーんと考え事をしていると。
その視界に、足が見えた。
ん?
足ということは、上に身体がついているワケで。
景子が、そーっと視線を上に上げると。
スレイが、立っていた。
「か、か、か、株の選定を…! 今日は転がってるわけじゃありません!」
回らない舌で、彼女は反射的に言い訳をしていた。
また怪我をしていると、思われたくなかったのだ。
「立ってみろ」
言い訳には興味がなさそうに、スレイは噛み合わない一言で、軽く景子を追いつめた。
一番、触れられたくない部分でもある。
「す、座っていれば仕事は出来ます」
働いていないと、どうにも落ち着かないのだ。
好きな植物のことだから、少々の痛みは苦にならないし。
「何故、ロジューストラエヌルに治してもらわない」
そんな彼女のことを、スレイはきっと理解できないのだろう。
ため息と共に、ロジューの名前を出す。
「命にかかわりませんから」
その点だけは、景子はきっぱりと答えた。
普通の人は、みなそうして治しているのだ。
腰痛ごときで魔法なんて、ロジューだって甘えるなと言うだろう。
「お前は…」
ふぅ。
スレイは、一度目を伏せて。
「お前は…馬鹿だな」
しみじみと言われると──物凄く傷つくものだと分かった。
腰が。
思いのほか、治らずに苦労した。
しかし、景子はおとなしく寝ていることが出来ずに、よろよろとジャングルに向かうのだ。
まだ、温室用の植物の選定は、さっぱり終わっていないのだ。
立ってうろつくと危ないので、ジャングルの中では、座り込んで作業を始める。
どうせ、はいつくばるくらいのことはする予定だった。
この態勢の方が、楽かもしれない。
背の低い株を選びながら、目印の紐を巻いていく。
腰がもう少し治ったら、この株を掘り出そうと思ったのだ。
さすがに、誰か人の手を借りないといけないなあ。
紐を結びながら、景子がうーんと考え事をしていると。
その視界に、足が見えた。
ん?
足ということは、上に身体がついているワケで。
景子が、そーっと視線を上に上げると。
スレイが、立っていた。
「か、か、か、株の選定を…! 今日は転がってるわけじゃありません!」
回らない舌で、彼女は反射的に言い訳をしていた。
また怪我をしていると、思われたくなかったのだ。
「立ってみろ」
言い訳には興味がなさそうに、スレイは噛み合わない一言で、軽く景子を追いつめた。
一番、触れられたくない部分でもある。
「す、座っていれば仕事は出来ます」
働いていないと、どうにも落ち着かないのだ。
好きな植物のことだから、少々の痛みは苦にならないし。
「何故、ロジューストラエヌルに治してもらわない」
そんな彼女のことを、スレイはきっと理解できないのだろう。
ため息と共に、ロジューの名前を出す。
「命にかかわりませんから」
その点だけは、景子はきっぱりと答えた。
普通の人は、みなそうして治しているのだ。
腰痛ごときで魔法なんて、ロジューだって甘えるなと言うだろう。
「お前は…」
ふぅ。
スレイは、一度目を伏せて。
「お前は…馬鹿だな」
しみじみと言われると──物凄く傷つくものだと分かった。