アリスズ
☆
アディマは、ほっとしたようだった。
何を心配していたのかは知らないが、景子もその様子に安堵する。
彼の後方に、ぬぅっとした影が現れる。
ダイが、少しだけ扉の間から姿を見せていた。
そこまで来て、景子は自分がこちらの服に着替えていたことを思い出す。
うわあ。
カァァっと、一気に耳まで熱くなった。
こ、これはこっちでは恥ずかしくないんだ。おかしくないんだ。
自分に言い聞かせても、照れはおさまらない。
アディマが、そんな景子に不思議そうにした後──何かに気づいたように、彼女の姿を見る。
何か。
服装以外の、何物でもないではないか。
ますます、恥ずかしさに拍車がかかる。
「ケーコ…───」
アディマは。
少し嬉しそうに目を細めた。
似合っているというとか、似合っていないとかではなく、それを旅支度と認識したように思えた。
景子も一緒に旅をするのだと、ようやく彼が理解したような。
梅を置いていくことには、本当に心残りがある。
菊も景子と同行すると言い出したので、本当に彼女は一人になってしまうではないか、と。
『大丈夫、次にあなた方が来る頃には、最高のもてなしが出来るようにしていますから』
そして、梅は景子の手を取ったのだ。
『私たちは、日本人です。それを忘れなければ、どこででもまっすぐ生きてゆけます』
ここにも、同じように太陽があるんですもの。
景子は。
窓の外を見た。
明るい日差しが、窓ごしに入ってくる。
この世界にも、ちゃんと太陽があるのだ。
夜の月は、少し怖い色をしていたが、太陽の色も数も日本と変わらない。
彼女のお天道様の目も、何も変わらない。
少し照れのおさまった頬で、景子はアディマを向き直った。
「アディマ…足手まといかもしれないけど、これからよろしくね」
ぺこりと頭を下げると、子供ならざる者はゆるやかに微笑んだ。
懐の、深い深い笑みだった。
アディマは、ほっとしたようだった。
何を心配していたのかは知らないが、景子もその様子に安堵する。
彼の後方に、ぬぅっとした影が現れる。
ダイが、少しだけ扉の間から姿を見せていた。
そこまで来て、景子は自分がこちらの服に着替えていたことを思い出す。
うわあ。
カァァっと、一気に耳まで熱くなった。
こ、これはこっちでは恥ずかしくないんだ。おかしくないんだ。
自分に言い聞かせても、照れはおさまらない。
アディマが、そんな景子に不思議そうにした後──何かに気づいたように、彼女の姿を見る。
何か。
服装以外の、何物でもないではないか。
ますます、恥ずかしさに拍車がかかる。
「ケーコ…───」
アディマは。
少し嬉しそうに目を細めた。
似合っているというとか、似合っていないとかではなく、それを旅支度と認識したように思えた。
景子も一緒に旅をするのだと、ようやく彼が理解したような。
梅を置いていくことには、本当に心残りがある。
菊も景子と同行すると言い出したので、本当に彼女は一人になってしまうではないか、と。
『大丈夫、次にあなた方が来る頃には、最高のもてなしが出来るようにしていますから』
そして、梅は景子の手を取ったのだ。
『私たちは、日本人です。それを忘れなければ、どこででもまっすぐ生きてゆけます』
ここにも、同じように太陽があるんですもの。
景子は。
窓の外を見た。
明るい日差しが、窓ごしに入ってくる。
この世界にも、ちゃんと太陽があるのだ。
夜の月は、少し怖い色をしていたが、太陽の色も数も日本と変わらない。
彼女のお天道様の目も、何も変わらない。
少し照れのおさまった頬で、景子はアディマを向き直った。
「アディマ…足手まといかもしれないけど、これからよろしくね」
ぺこりと頭を下げると、子供ならざる者はゆるやかに微笑んだ。
懐の、深い深い笑みだった。