アリスズ
☆
ぴぎゃーーー。
火がついたように泣き出すのは、いつも決まって弟のテル。
つられてふにゃふにゃと泣き出すのは、兄のハレ。
アディマに、正式な名前をもらっていないので、とりあえず景子は日本名をつけた。
晴と照。
どちらも、お天道様に関係した名前だ。
いきなり二人の子持ちになった景子は、とにかく赤ん坊に振り回されていた。
赤ん坊には、夜も昼もないのだから。
幸い、ここにはネラッサンダンがいて、先輩として手伝ってくれる。
シェローも学校が終わったら、子守をしてくれた。
彼らがいなければ、景子はもっと早くへばっていただろう。
昼間は、時々農林府からの書類を持ってネイディがきて、仕事の話をしていく。
まだ、出勤出来る状況でないのは、一目瞭然だった。
出産の前に、ほとんどの書類や準備は整えていたので、外畑への治水工事は始まったようだ。
今夜もまた。
テルの泣き声で、飛び起きる。
あわてて、乳をあげようとした時。
窓を。
窓を見てしまった。
「………!」
よく、大声をあげなかったと、後で自分に感心した。
白い小さいものが二つ、そこに浮かんでいたからだ。
何かと思ったら。
スレイの目の、白目の部分だったのだ。
夜の彼で、一番分かりやすい部分だけ、景子に見えていた。
何故、彼が。
慌ててテルを抱いたまま、窓を開けると。
彼は、ちらりと腕の中を見た後。
「女だ」
一言だけ言い残すと──去って行った。
ええと。
どうやら。
ロジューの子は、女の子だったようだ。
ぴぎゃーーー。
火がついたように泣き出すのは、いつも決まって弟のテル。
つられてふにゃふにゃと泣き出すのは、兄のハレ。
アディマに、正式な名前をもらっていないので、とりあえず景子は日本名をつけた。
晴と照。
どちらも、お天道様に関係した名前だ。
いきなり二人の子持ちになった景子は、とにかく赤ん坊に振り回されていた。
赤ん坊には、夜も昼もないのだから。
幸い、ここにはネラッサンダンがいて、先輩として手伝ってくれる。
シェローも学校が終わったら、子守をしてくれた。
彼らがいなければ、景子はもっと早くへばっていただろう。
昼間は、時々農林府からの書類を持ってネイディがきて、仕事の話をしていく。
まだ、出勤出来る状況でないのは、一目瞭然だった。
出産の前に、ほとんどの書類や準備は整えていたので、外畑への治水工事は始まったようだ。
今夜もまた。
テルの泣き声で、飛び起きる。
あわてて、乳をあげようとした時。
窓を。
窓を見てしまった。
「………!」
よく、大声をあげなかったと、後で自分に感心した。
白い小さいものが二つ、そこに浮かんでいたからだ。
何かと思ったら。
スレイの目の、白目の部分だったのだ。
夜の彼で、一番分かりやすい部分だけ、景子に見えていた。
何故、彼が。
慌ててテルを抱いたまま、窓を開けると。
彼は、ちらりと腕の中を見た後。
「女だ」
一言だけ言い残すと──去って行った。
ええと。
どうやら。
ロジューの子は、女の子だったようだ。