アリスズ
☆
「キキュ…───」
やっぱり発音できないまま、リサーが歩きながら説教の続きを始めたようだ。
名前を知ろうとしたのは、呼びかける手段がなくては注意を引けないと思ったからなのか。
真面目そうな人だ。
景子にも、だんだんリサーの性格が見えてきた。
この旅のメンバーの中では、アディマの次に身分が高く、そして旅そのものの仕切り役のようだ。
だから、不確定要素の菊や景子を、若干警戒している様子が見てとれた。
アディマの言うことには従うが、それ以外は彼の言うことに従わなければならないのだろう。
ダイは、完全なる護衛。
そして女性は、おそらく身の回りの世話をする人、と言ったところか。
景子は、この女性を見た。
さっき、一瞬だけリサーについて笑っていた気がしたが、また彼女はつんと澄ましていて。
視線に気づいたのか、女性はちらと景子に瞳を投げる。
「ケイコ」
自分の胸に触れて自己紹介すると、彼女は表情を曇らせた。
呼んだり名乗ったりしなければならないのだろうか──その段階から不満なようだ。
しかし、アディマがちらりと彼女を見ただけで、態度が豹変した。
コホンと咳払いをした後、長い指を自分の襟元にあてたのだ。
「シャンデルデルバータ」
また長ったらしい名前が出たので。
「シャン?」
そう復唱したら。
「シャンデル」
ぴしゃりと修正が入った。
そう呼べばいいらしい。
「ありがとう、シャンデル」
景子は、応えてくれたのが嬉しくなって笑顔になった。
ぷいと、彼女は向こうを向いてしまったが。
アディマ、リサー、ダイ、シャンデル、菊──そして、景子。
やっと、全員の名前を知ることが出来たことになる。
「アリガトウ…」
また、アディマが呟いていた。
「キキュ…───」
やっぱり発音できないまま、リサーが歩きながら説教の続きを始めたようだ。
名前を知ろうとしたのは、呼びかける手段がなくては注意を引けないと思ったからなのか。
真面目そうな人だ。
景子にも、だんだんリサーの性格が見えてきた。
この旅のメンバーの中では、アディマの次に身分が高く、そして旅そのものの仕切り役のようだ。
だから、不確定要素の菊や景子を、若干警戒している様子が見てとれた。
アディマの言うことには従うが、それ以外は彼の言うことに従わなければならないのだろう。
ダイは、完全なる護衛。
そして女性は、おそらく身の回りの世話をする人、と言ったところか。
景子は、この女性を見た。
さっき、一瞬だけリサーについて笑っていた気がしたが、また彼女はつんと澄ましていて。
視線に気づいたのか、女性はちらと景子に瞳を投げる。
「ケイコ」
自分の胸に触れて自己紹介すると、彼女は表情を曇らせた。
呼んだり名乗ったりしなければならないのだろうか──その段階から不満なようだ。
しかし、アディマがちらりと彼女を見ただけで、態度が豹変した。
コホンと咳払いをした後、長い指を自分の襟元にあてたのだ。
「シャンデルデルバータ」
また長ったらしい名前が出たので。
「シャン?」
そう復唱したら。
「シャンデル」
ぴしゃりと修正が入った。
そう呼べばいいらしい。
「ありがとう、シャンデル」
景子は、応えてくれたのが嬉しくなって笑顔になった。
ぷいと、彼女は向こうを向いてしまったが。
アディマ、リサー、ダイ、シャンデル、菊──そして、景子。
やっと、全員の名前を知ることが出来たことになる。
「アリガトウ…」
また、アディマが呟いていた。