アリスズ
☆
景子は、困っていた。
アディマと結婚をするという事実の重さは、日に日に大きく、しかも重圧を伴っていたのだ。
次期、イデアメリトスの太陽と呼ばれる世継ぎの結婚式なのだから、豪華絢爛であってもなんらおかしくはない。
またしても1週間ほど、都は祭りと化すらしい。
国を挙げての、結婚式なのだ。
準備の時間も、たっぷりかかる。
婚姻の承認に、四神殿の神官を招くため、軽く半年先になってしまう。
そのおかげで半年間、景子は宮殿に缶詰になる──ところだった。
とんでもない、と。
即座にアディマに直談判に行き、農林府の仕事が出来るように懇願したのだ。
既に、結婚のお触れは出されている。
しかし、幸いなことに世継ぎの結婚としか書かれておらず、景子の名前は出されていないのだ。
世間一般には、顔も名前も知られていないいまなら、まだ動きやすいように思えた。
「妃になるものが働き者だと…僕は更に働き者でなければならないな」
アディマには、そう苦笑されてしまう羽目になる。
外に出る許可が出るまで、少しかかった。
ただし、一人で、ではない。
ダイお墨付きの、品行方正な近衛兵が常時つけられることになったのだ。
後で、リサーに思い切り睨まれたことを考えると、彼も不承不承納得させられたのだろう。
子供たちは、というと。
一人につき一人ずつ、気品ある乳母がつけられた。
まあ、お坊ちゃんたち、よい身分だこと──そう景子が笑うほどの好待遇である。
ただ、朝一番だけは、景子が二人の部屋を巡って授乳させていた。
そうしたかったのだ。
でなければ、子供たちに自分のことを忘れ去られてしまいそうで。
結婚式の準備が着々と進んでいく中、妃予定の景子は、畑で泥にまみれていることとなったのである。
唯一、ついていたことは。
日焼けした肌になったとしても、お国柄上、まったく問題がなかった、ということだった。
景子は、困っていた。
アディマと結婚をするという事実の重さは、日に日に大きく、しかも重圧を伴っていたのだ。
次期、イデアメリトスの太陽と呼ばれる世継ぎの結婚式なのだから、豪華絢爛であってもなんらおかしくはない。
またしても1週間ほど、都は祭りと化すらしい。
国を挙げての、結婚式なのだ。
準備の時間も、たっぷりかかる。
婚姻の承認に、四神殿の神官を招くため、軽く半年先になってしまう。
そのおかげで半年間、景子は宮殿に缶詰になる──ところだった。
とんでもない、と。
即座にアディマに直談判に行き、農林府の仕事が出来るように懇願したのだ。
既に、結婚のお触れは出されている。
しかし、幸いなことに世継ぎの結婚としか書かれておらず、景子の名前は出されていないのだ。
世間一般には、顔も名前も知られていないいまなら、まだ動きやすいように思えた。
「妃になるものが働き者だと…僕は更に働き者でなければならないな」
アディマには、そう苦笑されてしまう羽目になる。
外に出る許可が出るまで、少しかかった。
ただし、一人で、ではない。
ダイお墨付きの、品行方正な近衛兵が常時つけられることになったのだ。
後で、リサーに思い切り睨まれたことを考えると、彼も不承不承納得させられたのだろう。
子供たちは、というと。
一人につき一人ずつ、気品ある乳母がつけられた。
まあ、お坊ちゃんたち、よい身分だこと──そう景子が笑うほどの好待遇である。
ただ、朝一番だけは、景子が二人の部屋を巡って授乳させていた。
そうしたかったのだ。
でなければ、子供たちに自分のことを忘れ去られてしまいそうで。
結婚式の準備が着々と進んでいく中、妃予定の景子は、畑で泥にまみれていることとなったのである。
唯一、ついていたことは。
日焼けした肌になったとしても、お国柄上、まったく問題がなかった、ということだった。