アリスズ
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「しょうがない…うちに連れて帰るか」
話の筋が通り、これからどうするかという話の雰囲気になりかけた時。
キクが、一瞬で結論を出した。
「とりあえず、寝泊りするだけなら道場もあるし…トーの客なら無碍にも出来んしな」
ちょいと借りがあってね。
キクは、片目を細めて見せた。
ダイには、あまり歓迎できない。
あの男は、敵を連れて来る。
その敵を狩るのが、ダイの仕事ではあるのだが、騒乱を都に持ち込まれるのはよくないことだ。
反対しようとした矢先。
キクが、まっすぐにダイを見た。
「出来たら、一年くらいトーを都に留めたい」
そして。
とんでもないことを、言い出す。
無理だ。
言いかけた言葉を、ダイは飲み込んだ。
彼女が、何か思うところがあって、その言葉を言っている。
きっと、何か大事な理由で。
彼の無言の意味を知ってか、キクがふっと笑みを浮かべた。
「すまんな…困らせたいワケじゃないんだ」
行こう。
彼女は、立ち上がる。
客のマリスを連れて、家に帰ろうとしているのだ。
「事情を…」
キクはさっき、ダイを頼るようなことを言った。
トーをとどめることを、彼が望んでいないと知っている上で。
たとえ彼女が酔って言ったことだとしても、それを放り出してしまえなかったのだ。
キクは、入り口に立って、そして振り返った。
「私の…わがままだ」
笑う。
そして、去る。
「分かるように…話せ」
ようやくダイが呟いた言葉など──誰も聞いてはいなかった。
「しょうがない…うちに連れて帰るか」
話の筋が通り、これからどうするかという話の雰囲気になりかけた時。
キクが、一瞬で結論を出した。
「とりあえず、寝泊りするだけなら道場もあるし…トーの客なら無碍にも出来んしな」
ちょいと借りがあってね。
キクは、片目を細めて見せた。
ダイには、あまり歓迎できない。
あの男は、敵を連れて来る。
その敵を狩るのが、ダイの仕事ではあるのだが、騒乱を都に持ち込まれるのはよくないことだ。
反対しようとした矢先。
キクが、まっすぐにダイを見た。
「出来たら、一年くらいトーを都に留めたい」
そして。
とんでもないことを、言い出す。
無理だ。
言いかけた言葉を、ダイは飲み込んだ。
彼女が、何か思うところがあって、その言葉を言っている。
きっと、何か大事な理由で。
彼の無言の意味を知ってか、キクがふっと笑みを浮かべた。
「すまんな…困らせたいワケじゃないんだ」
行こう。
彼女は、立ち上がる。
客のマリスを連れて、家に帰ろうとしているのだ。
「事情を…」
キクはさっき、ダイを頼るようなことを言った。
トーをとどめることを、彼が望んでいないと知っている上で。
たとえ彼女が酔って言ったことだとしても、それを放り出してしまえなかったのだ。
キクは、入り口に立って、そして振り返った。
「私の…わがままだ」
笑う。
そして、去る。
「分かるように…話せ」
ようやくダイが呟いた言葉など──誰も聞いてはいなかった。