アリスズ
☆
そっか。
部屋に戻ったら、シャンデルと二人きりになる。
いつもの野宿とは、違うのだ。
さっきがさっきだっただけに、景子はアディマを心配していた。
いくら、アディマが子供ならざる者と分かっていたとしても、身体はとても小さい。
ダイや菊と引き離されたら、景子でさえ負けないような気がするくらい。
身分が高いせいで、どこからか恨みでも買っているのだろうか。
景子が、うーんうーんとベッドに座って考え込んでいると。
ノッカーが鳴った。
「ど、どなた?」
答えたのは、シャンデル。
音にびくついて、声が上ずっている。
彼女もまだ、さっきの事件を引きずっているのだ。
「僕だ───」
声は、アディマだった。
瞬間。
シャンデルの姿勢がぴんと伸びて、大急ぎで扉を開く。
無礼を、とでも言わんばかりに腰をかがめようとする彼女を、手で押しとどめた。
アディマのすぐ後ろには、ダイが立っている。
「───」
言葉を受けて、シャンデルは何故か、一度景子の方を振り返った後。
「はい」
と答えるや、解いていなかった自分の荷物をひっつかんで、部屋を出て行ってしまったのだ。
「……え?」
驚きは、そのまま声になる。
景子は、入ってきたアディマと、出て行ったシャンデルを、同じ視界の中で見てしまったのだ。
ダイを見ると、彼は肩をそびやかすや──扉を閉めてしまったのである。
えええええ!?
だが、同時に。
ドアの向こうで、ドスンと座り込む音もまた、聞こえたのだ。
そこで、番をする気なのか。
「アディマ…ここ…寝る?」
たどたどしい言葉で、景子が問いかけると。
彼は、ゆっくりと肯いたのだった。
そっか。
部屋に戻ったら、シャンデルと二人きりになる。
いつもの野宿とは、違うのだ。
さっきがさっきだっただけに、景子はアディマを心配していた。
いくら、アディマが子供ならざる者と分かっていたとしても、身体はとても小さい。
ダイや菊と引き離されたら、景子でさえ負けないような気がするくらい。
身分が高いせいで、どこからか恨みでも買っているのだろうか。
景子が、うーんうーんとベッドに座って考え込んでいると。
ノッカーが鳴った。
「ど、どなた?」
答えたのは、シャンデル。
音にびくついて、声が上ずっている。
彼女もまだ、さっきの事件を引きずっているのだ。
「僕だ───」
声は、アディマだった。
瞬間。
シャンデルの姿勢がぴんと伸びて、大急ぎで扉を開く。
無礼を、とでも言わんばかりに腰をかがめようとする彼女を、手で押しとどめた。
アディマのすぐ後ろには、ダイが立っている。
「───」
言葉を受けて、シャンデルは何故か、一度景子の方を振り返った後。
「はい」
と答えるや、解いていなかった自分の荷物をひっつかんで、部屋を出て行ってしまったのだ。
「……え?」
驚きは、そのまま声になる。
景子は、入ってきたアディマと、出て行ったシャンデルを、同じ視界の中で見てしまったのだ。
ダイを見ると、彼は肩をそびやかすや──扉を閉めてしまったのである。
えええええ!?
だが、同時に。
ドアの向こうで、ドスンと座り込む音もまた、聞こえたのだ。
そこで、番をする気なのか。
「アディマ…ここ…寝る?」
たどたどしい言葉で、景子が問いかけると。
彼は、ゆっくりと肯いたのだった。