蜜柑寮より愛を込めて
「さて、柚実さん。」
「はい。」
「あなたには、今日から、蜜柑寮に住み込みで調理員をしてもらうのだけれど…。決まりをいくつか守ってもらうわ。」
「…は…い。」
きたっ。
やっぱり名門大学の寮…。
厳しい規則がありそう。
柚実は、そう思ってゴクリと唾を飲んだ。
「1つ。朝食は、7時までに作ること。2つ。できるだけ栄養バランスも考えて作ること。3つ。寮の学生とは仲良く。以上よ。」
秋菜が指を3つ立てながら、にっこり笑う。
「へ??」
あまりに緩い規則に、柚実は目を丸くした。
「それだけですか??」
「ええ。これだけ守ってもらえれば十分よ。
特に1つめ。朝ご飯は必ず7時までに作って、ゆっくり食べさせてあげて。」
「…はい。」
こんなに緩くていいのだろうか。
と思いながらも、柚実は、内心難しいことを言われなくて安心していた。