蜜柑寮より愛を込めて

「…。」

柚実はあんぐりと口を開けている。

(なな…なによコレ!!)

キッチンのシンク周りに大量の洗い物が積み上げてあった。

秋菜の話では、寮生は5人…。

この食器は何日分なのだろう。

(“お嬢様”って本当に何もできないのね…。仕方ない…。)

柚実は、腕まくりをして、食器を洗い始めた。

洗っても洗っても減らない食器。

さすがの柚実も、これにはびっくりだ。

綺麗に洗い、拭き終わった食器を食器棚に戻す。

たぶんここだろうという、勘で。

食器棚のほとんどの食器が使われていて、食器棚が空に近い状態だったのだから仕方ない。

食器洗いが終わり、柚実は、ふぅー…と安堵のため息をついた。

「さて…。」

今日は、何を作ろうかと、柚実は冷蔵庫を開けた。

「!??」

柚実は、また口をあんぐりと開けた。

納豆に牛乳に…プリン…。

冷蔵庫に入っていたのはこれだけだった。

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