蜜柑寮より愛を込めて
蜜柑寮のひとびと
(うんっもぉー!!信じらんない!!)
柚実は、買い物袋を両手に持ちながらドカドカ歩いていた。
冷蔵庫の中身がアレでは、さすがに柚実も夕ご飯は作れない。
仕方なく、スーパーを探して、買い物をしてきたのだ。
現在5時30分。
今から、学生が帰ってくるまでに夕ご飯を完成できるだろうか。
何を作ろうか迷った結果、今日は、から揚げとサラダにした。
これなら、簡単にできる。
お米は見つけたので、炊飯器のスイッチを押してきた。
―ガチャ
寮の門を開ける。
玄関で急いで靴を脱ぎ、キッチンに走った。
「―…へ??」
リビングのドアを開けた柚実の前に…誰かがいた。
窓から降り注ぐ紅い光があたり影が伸びる。
「だ…誰!??」
柚実がそう言うと、その人物は照明のリモコンをピッと押し、電気をつけた。
「!??」
(……お…とこ…。)
柚実の瞳が大きく開く。
柚実の前に、美形の男が立っていた。