蜜柑寮より愛を込めて

蜜柑寮のひとびと


(うんっもぉー!!信じらんない!!)

柚実は、買い物袋を両手に持ちながらドカドカ歩いていた。

冷蔵庫の中身がアレでは、さすがに柚実も夕ご飯は作れない。

仕方なく、スーパーを探して、買い物をしてきたのだ。

現在5時30分。

今から、学生が帰ってくるまでに夕ご飯を完成できるだろうか。

何を作ろうか迷った結果、今日は、から揚げとサラダにした。

これなら、簡単にできる。

お米は見つけたので、炊飯器のスイッチを押してきた。


―ガチャ

寮の門を開ける。

玄関で急いで靴を脱ぎ、キッチンに走った。

「―…へ??」

リビングのドアを開けた柚実の前に…誰かがいた。

窓から降り注ぐ紅い光があたり影が伸びる。

「だ…誰!??」

柚実がそう言うと、その人物は照明のリモコンをピッと押し、電気をつけた。

「!??」

(……お…とこ…。)

柚実の瞳が大きく開く。

柚実の前に、美形の男が立っていた。

< 15 / 31 >

この作品をシェア

pagetop