蜜柑寮より愛を込めて
「あなたどこの学校を出たの??」
女の目は、赤く充血していた。
「…家の近くの…調理の専門学校です…。」
「じゃぁ、料理が出きるのね!!素晴らしいじゃない!!」
女性の顔が、ぱぁっと明るくなった。
「…でも、それだけで、他にとりえないんです。」
「あら~、料理さえ出来れば十分じゃない。」
「で…でも…。」
女がそう言うと、女性は人差し指を女の口に当てた。
「私ね、実は、ある学校の学長をしているの。それでね、寮があるのだけれど、調理員がいなくて…。」
女性の指が女から離れる。
「あなた、そこで働かない??」
女性がにっこり微笑んだ。
女は一瞬、瞳を大きく見開いて、驚いたような顔をした。
しかし、すぐに、首をこくんと縦に振った。