蜜柑寮より愛を込めて
「そうだけど??」と言われた時の柚実の驚きようは半端じゃなかった。
自分の中では、寮生は100%女だと思っていたため、本当に驚いたようだ。
「MTだわ…。」
『へ??』
ぼそりと呟かれた柚実の言葉に、男たちは首をかしげる。
「…MTなのよ!!まさかの展開なのよ!!」
柚実は、カッと目を開き、顔を上げる。
「若い女が住み込みで働くのよ!!男子寮になんかに普通入れる!??信じらんない…。」
柚実は、その場に座り込んだ。
「…なんかさ…俺たち全然話読めねぇけど…。」
「あったり前じゃない!!あたしだって頭の中ぐるぐるよ!!」
…やっぱり、もっと仕事内容ちゃんと聞いてから返事すればよかったのかな…。
柚実は、呆然と床に視線を落としていた。
「…で??お前、結局なんでここにいるんだよ。」
淕がため息交じりで柚実に聞いた。
―…なんで??
なんでって…働くためよ…。
働くためにここにいるのよ。
柚実は、そう思って、はっとした。
(そうよ…あたしは、働くためにここに来た。料理を作るためにここに来たんだ!!…寮生が、男でも女でも…関係ない!!)
「ふー…。」
柚実は、大きく深呼吸をすると、ペシッと自分の手で、頬を叩いた。