蜜柑寮より愛を込めて
「よし。これでOK。」
かわいい顔をした男が柚実の足にばんそうこうを貼って言った。
「ありがとう。…えっと…。」
「啓(サトシ)だよ。」
啓は、にっこりと笑いながら言った。
「ありがとう。啓くん。」
柚実もつられて微笑んだ。
「そういえば、僕らきちんと自己紹介してなかったねぇ。君の名前も知らないし。」
(…そういわれれば。)
「じゃぁ、僕から自己紹介するね!!僕は、近藤啓(コンドウ サトシ)★よろしくっ。」
「よ…ろしく…。」
啓は、本当にかわいらしい。
美少年というよりは、美少女という感じで、啓のあまりの美しさに柚実はどきどきした。
やわらかそうな茶色い髪がふわふわしていて、まるで天使のようだ。
身長もそれほど高くなく、柚実とたいして変わらないだろう。
「次は~みゅうね!!」
啓が言う。
「古川深憂(フルカワ ミユウ)です…。」
短髪の男が視線を柚実からずらしながら言った。
(こ…の人が深憂!??…似合わない…。)
柚実はそう思った。
柚実がそう思うのも納得だ。
深憂なんてかわいい名前なのに、見た目は短髪でスポーツやってます!的な男らしい体。
しかもかなりの長身。
…でも、柚実からそらした顔は真っ赤。
それを見て柚実は、クスリと笑った。
「よろしくっ。」
案外かわいらしい一面を持っているようだ。