蜜柑寮より愛を込めて

「よし。これでOK。」

かわいい顔をした男が柚実の足にばんそうこうを貼って言った。

「ありがとう。…えっと…。」

「啓(サトシ)だよ。」

啓は、にっこりと笑いながら言った。

「ありがとう。啓くん。」

柚実もつられて微笑んだ。

「そういえば、僕らきちんと自己紹介してなかったねぇ。君の名前も知らないし。」

(…そういわれれば。)

「じゃぁ、僕から自己紹介するね!!僕は、近藤啓(コンドウ サトシ)★よろしくっ。」

「よ…ろしく…。」

啓は、本当にかわいらしい。

美少年というよりは、美少女という感じで、啓のあまりの美しさに柚実はどきどきした。

やわらかそうな茶色い髪がふわふわしていて、まるで天使のようだ。

身長もそれほど高くなく、柚実とたいして変わらないだろう。

「次は~みゅうね!!」

啓が言う。

「古川深憂(フルカワ ミユウ)です…。」

短髪の男が視線を柚実からずらしながら言った。

(こ…の人が深憂!??…似合わない…。)

柚実はそう思った。

柚実がそう思うのも納得だ。

深憂なんてかわいい名前なのに、見た目は短髪でスポーツやってます!的な男らしい体。

しかもかなりの長身。

…でも、柚実からそらした顔は真っ赤。

それを見て柚実は、クスリと笑った。

「よろしくっ。」

案外かわいらしい一面を持っているようだ。

< 27 / 31 >

この作品をシェア

pagetop