蜜柑寮より愛を込めて
「えっと…あたしは…。」
柚実の顔がさらに赤くなる。
こんな美男子たち…というより5人もの男の子たちに注目されたことなんて柚実にはない。
(ど…ドキドキで、やばいっっ。)
「ああああたしは、中野柚実!!今年、専門学校を卒業したばかりっ!!おおお女!!」
柚実は、かなりどもりながら言葉を発した。
実は柚実…、ずっと女子校で育った。
専門は、共学だったが、男子なんてほとんどいなかった。
男は本当に慣れていない。
父親以外の男とこんな風にきちんと(?)会話したのは、かなり久しぶりなのだ。
「くっ。おっまえ、変わってんなぁ!!」
淕が笑いをこらえるように言った。
「本当本当!!!」
みんながいっせいに笑い出す。
「ななな何なのよ!!」
(そんなにあたし変だった!??)
わかりやすいくらい『ガーン』という表情が柚実の顔にでて、みんなはさらに笑う。
「柚実は…女子校育ちだな。しかも、彼氏いない暦がイコール歳の数。」
律がさらりと、しかし、眼鏡の奥の瞳をきらりとさせて言った。
ずばり的中。
「みゅうより上がいたね~。」
啓の言葉にみんなが頷く。
「俺だってそれなりに彼女いたもんな。」
深憂が言う。
ああ。そういえば、深憂は、女の子苦手なんだっけ…??
うわっ。なんか超失礼!!
そ…そりゃぁ、みんなこれだけかっこよければ、彼女くらいすぐできるよ!!
むすっとしながら、柚実は思う。