蜜柑寮より愛を込めて

「こちらへどうぞ。」

柚実は、受付の男性の後をついて行く。

キャンパスの中は、本当に手入れが行き届いていて綺麗だ。

花や木なんかも、たくさん植えてある。

門から真っ直ぐ行ったところの、一番大きく、目立つ建物に案内された。

エレベーターで5階に上がる。

エレベーターのドアが開くと広い廊下に出た。

いくつか研究室らしき部屋が並び、一番奥に大きな扉があった。

『学長室』

扉の横には、そう書いてあった。

「少々おまちくださいませ。」

受付の男性は、そう言うと、学長室の扉をノックした。

そして、「失礼いたします。」と言って部屋の中へ入っていった。

どくん…どくん…。

緊張で柚実の心臓が鼓動を打つ。

荷物を持つ手にも力が入る。

その時、ガチャリと扉が開いた。

「どうぞ。お入り下さい。」

受付の男性が柚実にそう言った。

< 8 / 31 >

この作品をシェア

pagetop