蜜柑寮より愛を込めて
「こちらへどうぞ。」
柚実は、受付の男性の後をついて行く。
キャンパスの中は、本当に手入れが行き届いていて綺麗だ。
花や木なんかも、たくさん植えてある。
門から真っ直ぐ行ったところの、一番大きく、目立つ建物に案内された。
エレベーターで5階に上がる。
エレベーターのドアが開くと広い廊下に出た。
いくつか研究室らしき部屋が並び、一番奥に大きな扉があった。
『学長室』
扉の横には、そう書いてあった。
「少々おまちくださいませ。」
受付の男性は、そう言うと、学長室の扉をノックした。
そして、「失礼いたします。」と言って部屋の中へ入っていった。
どくん…どくん…。
緊張で柚実の心臓が鼓動を打つ。
荷物を持つ手にも力が入る。
その時、ガチャリと扉が開いた。
「どうぞ。お入り下さい。」
受付の男性が柚実にそう言った。