紅
「な、何泣いて・・・」
「迂闊に聞いてすまなかった・・・。
両親を亡くしていたのか・・・」
「別にもう平気だ・・」
「平気なわけだろ!?」
「平気だと「平気なわけないだろ!
親を亡くした気持ちはたとえ10年前でも20年前でも
おおきく辛いことだろう!」
この熱血ばかは涙を流した眼を見開いて私の肩をつかむ
「・・・近藤・・・さん?」
「・・・すまん・・・1人で熱くなっていた・・・」
近藤さんは涙をふき、またいつもの笑顔に戻る。
「すまなかった。それじゃあ、俺は戻る・・」
近藤さんは顔を赤くして、退席した。
近藤さんは人だ・・・。
見知らぬ女の話。
嘘か本当かわからない短い話。
そんな話を安々と信じ込んだ。
嬉しかったというよりも、うらやましかった。
私は泣けない。
まず、相手を信用しない。
ここにいる真選組を一度も信用したことがない。
なんで、こんな見ず知らずの女の話を信じるんだ・・・
・・・本当、わけわからない・・。
近藤さんのさっきの言葉・・・・本気だったな・・。
『 平気なわけないだろ!
親を亡くした気持ちはたとえ10年前でも20年前でも
おおきく辛いことだろう! 』
最初から縁側にいた俺。
あの桜を驚かそうと思って隠れてたのに、近藤さんが来ちまった。
しょうがなく待ってたら、いきなり近藤さんの声が聞こえてきた。
そのまえに、あいつ本当に両親を殺されているのか?
そこから怪しくないか?