女物を思わすような派手な着物を着用し

キセルを咥え、不気味な薄笑いを浮かべている。

左目には包帯を巻いていた。

体格もそれほど大きくなく、私は体格のいい筋肉質な男だと思っていたので

こんなやつにこの家を滅ぼされたのかと思うと腹が立ってくる。

「・・・貴様1人か」

「いいや、ここは俺の鬼兵隊にかこまれてるぜ」

「鬼兵隊だと?」

噂は聞いていた。

つまり

「貴様は高杉か」

「・・・そうだったどうする?」

「どうもしない。私はただあなたを斬るだけだ」

「へぇ、ずいぶん頼もしそうな護衛を持ったもんだな、ここの主人は」

「・・・何が言いたい」

「だが、ここの主人はすでに俺が葬った。今さら何のために斬る?」

なぜ、わたしがすぐ奴を斬り殺さなかったのか

それは、奴がこの泥沼な世界からわたしを助けてくれるのではないかと思ったから。

もし、無理だったとしてもわたしはこの泥沼から一人で這いつくばってでも

抜け出したかった。

死んでもいいと思った。

もうわたしには生きるも、死ぬも一緒だった。

「私は主人ことなどどうでもいい。だが主人は私を買ったんだ。

 私は最後の時までここに居るつもりだ」

「へぇー。俺にここで殺されるって?」

「・・・」

「・・・もし、俺がお前を買ったらここから出るんだな」

「貴様に私は買えぬ」

「なぜだ?」

「・・・」

「おまえの主人は何万でお前を買ったんだ?」

「・・そんなこと貴様に言う必要はない」

「おまえをその2倍で買ってやる」

「・・・おまえ、頭イかれてるんじゃないか」

「ククク・・・俺からしたらお前のほうがイかれてるようにみえる」

「・・・」

「女なのになぜ侍のまねごとをする」

まねごと?

貴様にわたしの何がわかるんだ・・・。

「私は侍じゃない。

 忠誠心なども欠片もない。でもここで死ぬことで私はやっと人になれる気がする」

「・・・おまえは人だ」

「貴様にはわからん」

「何一つわかんねーが、お前は俺に似てる」

「・・・」

「俺とこの腐った世界をぶっ壊さねーか?」

セカイヲコワス?



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