ふざけているのかこの男は・・・。

「はっ。あきれるな。その腐った思考回路」

「なにがだ?」

「私を買うと言ったり、世界を壊すと言ったり・・・。

 力のない貴様に言ったい何ができるんだ?」

私は目の前の奴を嘲笑い腹の底から笑った。

「力のない、俺ねぇ・・・。

 たしかに今は力がねえな」

「は?」

「お前が仲間になってくれるなら、俺も力が持てるかもしんねぇけどな・・・?」

本当、おまえは狂ってるよ

呆れるほどに・・・。


世界を壊すか・・・。

私もこの泥沼から出たい・・・。

奴についていけば私は変われるのか・・・?

変わりたい

人になって、人並みの幸せ・・・・

私にくれよ・・・。

「・・・貴様」

「さっきから貴様って俺は高杉だ」

「・・・高杉」

「私と杯をかわせ」

「ククク・・・買われてくれんのか?」

「・・・私は買われない。貴様と杯を交わし約束をするだけだ」

「何の約束だ?」

「・・・世界を壊す」

否、人になる。

この世の中が私をここまでどん底に落としつけたのなら、私はこの世界が嫌いだ。

こいつと契りを交わし、私はまた生きる意味ができた。

こいつに忠誠を誓い、私はこいつの下で死のう。

「・・・高杉・・・私を殺してくれ・・・」

「あぁ。約束が果たされたら、俺がお前を殺してやるよ」


これが私の人生が変わった瞬間だ。

高杉と杯を交わし



私は生きる。



死ぬその時まで、ずっとずっと。




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