「なんだこのアマ」

「・・・だまれ・・・離してやれって言ってんだろ」

「こっのやろー!!!!」

1人の男は気が短く私に斬りかかってきたが

「・・・遅せぇな、止まってるように見える」

そう言って私は自分の刀を引き抜き男を跳ね飛ばした。

「なっなんだこの女っ」

男たちは散り散りに逃げて言った。

「そんなに焦るなよ。峰うちだろ・・・」

「・・・大丈夫?」

女の子を見ると相当おびえていたようで

「はっはいっ!!!すいませんでした」

女の子は走って逃げて行った。

「はぁ」

ため息一ついて江戸の道をまた歩き出す。

「ちょっとすいやせん」

後ろから声をかけられ振り返ると真選組の隊士だ。

私たち鬼兵隊の敵である真選組。

いつか、こいつを殺すであろうと眼をそらした。

「・・・なんだ?」

「今って喧嘩ですかぃ?」

「・・・どこをどう見れば喧嘩に見える?」

あいつらなら喧嘩の相手にもならない、と私は苦笑いをした。

「いやー俺も仕事してるふりしなきゃいけねんでぃ」

「・・・そーか。だが、私はただ絡まれている女の子を助けてやっただけだ」

「そーかい。すいやせんでした」

「・・・べつに気にしてない」

そう言って私は浴衣をひるがえし江戸の道を歩いた。


◆◇◆◇◆◇◆◇


私がよく訪れる江戸外れにある団子屋さん。

ここはいつも空いていて、お団子を作っているおばあさんはとても優しい人だ。

おしゃべりがすきなたのしいおばあさん。

おばあさんは私のことを桜ちゃんと呼ぶ。

「おばさん、団子ひとつくれ」

「はぁーい」

台所の奥から声がして私は近くにあった椅子に腰かける。

やっぱり誰もいない。

「桜ちゃんは何のお仕事をしてるの?」

おばあさんが団子を持ってきて、隣に腰かけた。

「私は大事な仕事をしてる」







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