二人だけの秘密
はじまり
4月も半分を過ぎた頃。

海からの風が強い日で
桜の花びらはクルクルと舞っていた。


残り僅かな花びら達は、
必死に枝にしがみ付いている。


閑散とした駅のホームには
私とアナタだけで

帰りの電車を待っていた。


アナタの指がそっと私の髪に触れた。


アナタの手のひらには
桜の花びら。


「髪についてたから」
そう言って手のひらを大きく広げると
風が花びらをさらって風の中に消えていった。


こういう優しさが私をドキッとさせる。



「もうすぐだね電車」

「うん」


話したいことはまだいっぱいあった。
アナタのこと、もっと知りたかった。


でも
今は言葉が出てこない。
こういう時の沈黙がなんだか気まずい。
二人は無言のまま電車を待った。


アナタと
こうやって
こうしてること。

想像なんてしてなかった。



私が
こういう気持ちになっている事自体、
本当は有り得ないことなんだ。

小さな偶然が重なって
私たちをこうさせた。

私はこの「3日間」に感謝した。
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