二人だけの秘密
15時までに作業を終わらせないと
澤辺さんは今日中に家まで辿りつけない。


なんとか頑張らないと・・・
そんな思いと
澤辺さんともう少しだけ一緒にいたい
そんな思いが入り混じっていた。

なんだろう。
この気持ち。

澤辺さんか放つ色気?
年上の人といる居心地のよさ?
まだよくわかんないけどなんか気になってしまうの。

頭を仕事モードに切り替えないと。


私は松木さんの後を急いで追った。


得意先ではまず最初に
自己紹介をしてシステムの説明を私が行った。

作業はどうしても澤辺さんの力を借りないとできない。


得意先は家族で経営している小さなお店だった。
ご主人と奥さん。
とても感じのいい人たちで
作業中も色々と話しかけてくださる。

「こんな遠いところわざわざごめんね」
「観光名所回った?」
「近くに美味しいご飯屋さんがあるよ」

とかね。

私も緊張していた気持ちが段々とリラックスできて
澤辺さんの作業を隣で必死に覚えようと頑張っていた。

澤辺さんは私にわかりやすく丁寧に教えてくれた。
「じゃぁこの先は安藤さんやってみて」
私はマニュアルを片手に
澤辺さんの言ってたことを思い出しながら作業に入る。

「そうそう。それでオッケー。」
隣でそう言ってニコッとほほ笑んでくれる。

合間に澤辺さんは得意先の方々と色々話をしていた。
特に澤辺さんは遠方からの出張になるから
得意先の方々は驚いていた。

「15時にここを出発しないと
家に帰れないんですよ」

「せっかく来たんなら観光して帰ったらどう?
一泊くらいどうにかなるでしょう」
得意先の奥さんはそう言って私達にお茶を出してくれた。

少し休憩をしながら
私達はこの辺りの観光名所を教えてもらった。


さっき澤辺さんが言ってた足湯。
滝も見れるらしい。


大きなトラブルも無く
午前中におおまかの作業を終えた。
今のところ予定通り。


システムの運用方法は
午後に回す。
余裕でリミットを迎えられそうだった。


「じゃぁお昼でもいこうか」
松木さんはオススメのご飯屋さんへ連れていってくれた。
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