二人だけの秘密
そうこうしてる間に
列車到着のアナウンスが入る。


電車がホームに入ってくる。

これに乗っちゃうと
もう現実に引き戻される。


平日
ガラガラの特急列車。
私たちは車両の一番後ろを陣取った。


「また会いたいなぁ・・・なんてね。」
私の本心。


「会えるよ。
出張の機会も増えるだろうし。
オレはゼッタイに会う」

こういう時の言葉って信じるのが怖い。

そんなこと言われたら信じて待つよ?
私。


いいの?




ただの出張だと思っていたのに。
想像もしてなかったことが起きて今こうしている。


座ってからまともにアナタの顔が見れなくなっていて
アナタはそれに気付いたんだね。


アナタの温かくて大きな手が
私の小さな手を優しく包み込んだ。
私は無言のままギュッと強く握り返した。

ずっとこうしていたかったから
私は
誰にも見られないように
上着で二人の手を隠した。



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