二人だけの秘密
私達は駅に向かった。

駅で立ち話をしていると。

澤辺さんが私の腕を掴んで
「ちょっとこっち来て」
そう言って私を駅の陰になった場所へ導いた。

そして・・・。

私を抱きしめた。
「もうちょっとゆっくりできたらいいのに・・・。
まだまだ出張はあるから。」
私は誰か人に見られやしないかヒヤヒヤしながら
澤辺さんの胸に顔をうずめた。

「はい。待ってます私」
澤辺さんを見上げた。


澤辺さんは優しいキスをしてくれた。
そして握りしめた手。

大きくて
あったかい
澤辺さんの手。


時間ギリギリまで一緒にいた。

そして改札で見送る私。


私は
何度も手を振った。
何度も振り向いてくれた澤辺さん。


私は澤辺さんの乗った電車が見えなくなるまで
そこに立ち尽くしていた。


早くまた
会いたい。
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