二人だけの秘密
すぐに澤辺さんは戻って来た。

「大丈夫でした?」
「うん。残業って言ってるから。
大丈夫だよ。」
少し心が痛む。
ウソついてるんだもんね。
ごめんなさい。


そして私達は再び
ベッドに横になりTVを見ていた。


すると。

次は私の携帯が鳴った。

彼からだ!

「あっ・・彼氏」
私がそう言うと
澤辺さんは
「ゆっくり話していいから。
終わったらまた連絡して」
そう言って部屋を出て行ってしまった。


私は電話に出た。
「もしもし?」
「どういうこと?
なんで帰ってこないの?
今すぐ帰って来いよ!
まだ間に合うだろ?」

なんで!?怒ってんの!?
少しパニック。

「今から帰れったって無理だよ。
家帰るまでに終電無くなっちゃうし」

「…。
何で一泊する必要があるんだよ」

イライラしている彼。
いつもと何か違う私の様子を察知したのだろうか…


彼との押し問答が数分続く。
私は澤辺さんに申し訳ない気持ちで早く電話を切りたかった。

なかなか納得しない彼。

どうしよう…。


私は
明日朝一で帰るからその後会おうと約束した。

「明日会いに来い!」強い口調の彼。

彼はようやく落ち着いたのか電話を切った。


彼に嘘をついている。
悪いことだ。

でも彼に対する不満がフツフツと溜まっていたこともあって
私は自分のやっている事が悪いことだとわかっていても
澤辺さんと会うことは止められなかった。

もうすぐ。

もうすぐ澤辺さんとは終わっちゃうんだもん。


そう。

今日の会議中
現在進行中のプロジェクト。
最終期限が言い渡されたの。
あと1ヶ月後には本社のプロジェクトは縮小される…実質解散。


澤辺さんの出張も無くなるってこと…。
イコール
私と会うことも無くなるってこと。

もう会えなくなる。
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