短編:星夢
3.美しい波
夢なら
覚めないで?
おとぎ話なら
いまのまま
このままでいさせて。
そう思ってたはずなのに
物語の終わりは、
結局自分で綴ってた。
「もっと、抱きしめてていい?」
美波がそう問いかける。
私は首を振って
「もう、帰らなきゃいけないの」
そう、告げた。
11月の、冷たい風が吹いてる。
外はもう暗い。
「ホントに送っていかなくていいの?」
美波が、白い息を吐きながら
心配そうに私を見つめた。
「すぐつくから」
笑って、そう答えた。
なぜか、怖いほど自然に
笑顔が作れた。
美波が
「じゃあ、ばいばい」
と手を振る。
(そう、もう、ばいばい)
「ばいばい」
私も手を振った。