短編:星夢
みんな、楽しそう。
「うーたか!楽しんでる?!」
「河坂クン…私場違いじゃない?」
私は大勢の人の前で
ギターを弾いたり
歌を歌ったりなんて
とても出来ない
人付き合いもヘタな
臆病者。
「場違いじゃねーよ」
「………」
そう言われると、
どうしていいのか分からない。
「どうして、私を誘ったの?」
(そんなに仲良くないのに)
心の中で、そう思った。
「んーなんでだろ」
ジュースを飲みながら、
河坂クンが続ける。
「学祭頑張ってたからかな」
「え…?」
あんなの、頑張ってるなんて
評価されていいの?
ボロボロな接客で
きっとクラスの足引っ張ってた。
「気付いてた?詩花のトコ、お客多かったの」
「ぁ…っ」
言われてみれば
何故か私のところには
沢山人が並んだ。
誰から買っても同じ
ただのドーナツなのに。