短編:星夢
 
「お前ホント可愛いよな」

彼の口がそう言った。




ひどく他人事に聞こえた。



さっき話すように
なったばかりなのに

美波を見ると

頬が熱くなる自分がいる。



そんな自分を

可愛いと言う。



私はまた

「うそ」

と言った。


彼は

「また疑ってるの?」

と言って、

私を抱きしめようとした。




でも、気付いてしまった。

伸ばされた左手に

指輪が嵌められていること。




抵抗しなきゃいけない。




しなきゃいけなかった。





でも、

出来なかった。

 
< 8 / 17 >

この作品をシェア

pagetop