短編:星夢
「お前ホント可愛いよな」
彼の口がそう言った。
ひどく他人事に聞こえた。
さっき話すように
なったばかりなのに
美波を見ると
頬が熱くなる自分がいる。
そんな自分を
可愛いと言う。
私はまた
「うそ」
と言った。
彼は
「また疑ってるの?」
と言って、
私を抱きしめようとした。
でも、気付いてしまった。
伸ばされた左手に
指輪が嵌められていること。
抵抗しなきゃいけない。
しなきゃいけなかった。
でも、
出来なかった。