あお・蒼・青
追憶の青


それはとてもありふれた恋だった。




好きになったのはいつも遊んでくれる近所のお兄ちゃん。

私の知らない素晴らしいことをいつも優しく教えてくれた。

お兄ちゃんはこの世界のすみずみまで知らないことはないのだ!と本気で思った。



宝物だったお母さんに買って貰ったのお菓子のオマケのプラスチックの指輪。
私はそれ持って人生初のプロポーズをしに行った。

"わたしとけっこんしてください"

お兄ちゃんは困ったように微笑んで

ごめんね

とだけ言って私の頭を撫でた。


涙でグショグショの帰り道。
赤く腫れた私の目に写るのは腹がたつほど清々しい空の青だった。



それ以来私の嫌いな色は

あお

< 1 / 6 >

この作品をシェア

pagetop