私とあなたのMemory

病室で

FROM~ののか~




今日もリョウの所に来たけど、寝てる所を起しちゃったみたい。


リョウは、大丈夫って言ってるけど、目が笑ってない。



毎日って、さすがにしつこいかな・・?


リョウの意見も聞かずに、
私が勝手に決めて、来ちゃってるし。



でも、早く私の事憶えてほしいから。



こんなの、我がままになちゃうのかな・・・






イスに座って黙っていると、リョウが


「名前なんだっけ?」


って聞いてきた。





名前・・・覚えてないんだ・・。



心の中でかなりのショックをうけた。




「ののか。今井ののかだよ。」



前は、流れで名前を言ってたから、
おぼえてくれなかったんだ。



と自分に言い聞かせて


今度は、ちゃんと覚えてほしくて
「ののか」を強調して言った。




「あぁ、そうだ!『ののか』だ!!」



リョウは、納得したような表情を見せた。




『ののか』と呼ばれたとたん、私の心臓はドキンと大きな音をたてた。





前は、こんなの当然だったのに、今じゃ・・・。









今じゃ、名前なんか全然呼ばれない。






というか、入院して以来初めてかな。



トクントクンと私の心臓は、少し落ち着きを取り戻してきた。


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