私とあなたのMemory

キーン。コーン。カーン。コーン。


授業開始んのチャイムが鳴った。

それとほぼ同時に、国語教師が入ってきた。



「じゃ、号令！」


「きりーつ。」


号令係が、声をかける。



女子たちは、転高生の姿を発見し、チラチラと後ろを振り返る。



そんな視線には気付きもせず、黒板を見続ける。


この人、鈍感なのかな？

それとも、気づかないフリしてるだけ？




ま、どうでもいいや。


こんな転高生に、興味はない。


今はただ、リョウの事しか頭にない。



授業もつまらないので、外をずっと眺めていると
転高生が話かけてきた。



「名前なんて言うの？」


なにこの人？

授業中なのに。

まぁ、先生も気づいてないし、
私が言えることじゃないけど。



「今井　ののか。」


前に座る女子が、見てくる。



私は、なるべくそっけないく答えた。


なんか、「なんでののかが、喋ってんのよ。」

っていう、オーラが漂ってくる感じがするんだもん。



争いは、なるべく避けたい。



さっきとは裏腹に、私の気持ちもしらず話しを続ける転高生。



「俺の名前は、わかるべ？」


・・・・ごめん。転高生、君の名前分かんないや


「わかんない。」



転高生は、元気だ。


「えー。マジ？こんなことはじめて。」


声、デカイし。

先生に気づかれちゃう。


そんな気も知らず、話し続ける。


「じゃぁ、今覚えて。黒木　新だから。」


「あ・・・了解。」



ヤバー、先生こっち見てるよ。


「そんでさー。」



まだ、話しを続けようとする黒木に、私はしーっと合図し、

「授業中だよ。」


と、小さく囁いた。


でも、聞かない。

「今井って、そんなにマジメなんだぁ。」



この人の口はいつ閉まるのか。


無視しても、永遠に話し続ける。