私とあなたのMemory
そう言って、睨む。


「したきゃすればいいじゃん。」


今の私は、強気だ。


「あんたがそんな奴だって、分かったし。みんなに振りまいてるのは営業スマイル?」


せせら笑う。



「ずいぶんいい加減なんだね。黒木って恋したことないでしょ。適当な女見つけて、恋人ごっこでもやってのかな?」


優位に立った。



「人引いて逃げたのは、怖かったから?だったらクズだね。」


私は、自分の力で黒木の腕を振り払った。


そして、屋上を出ていこうとドアを開けた。




でも・・・・コイツもこんなんじゃ折れない。



「恋したことあるさ。」


黒木が叫んだ。


「遊びの?」

冷たく言う。コレが自分なんて思えない。


「俺が、急いでた理由・・・。俺の彼女は妊娠してたんだよ。」



・・・・は?


「え・・・?な・・・」



衝撃的だった。


「だって、まだ高2だよ。」


「そうだよ。」


冷たくなった彼の目。


「だから、急いでたんだよ!!仕方ないだろ!!」




取り乱して叫ぶ。


こいつ・・・。


バシッ!!


広い空に、響いた。



その音は、私の手の音。


黒木のほほに当たった。


「ってぇ。」っと、言いながらほほを触る彼。


当たり前だ。

コイツ、17のくせに子供作って。


もうすぐお父さんになるって時に、犯罪起こして。


そのいいわけに、妊娠使って。


警察にも出頭しないで・・・・。



何考えてんだ?




彼女に対しても、失礼だ。


いい加減にしてほしい。


「今すぐこの学校から消えて。それか、警察に行ってすべて話して。」



彼の顔を真剣に見つめ、言った。


「じゃなきゃ、私は一生恨み続けるし、いつか殺すかも。」



そう言って、屋上から出た。




黒木は何も言わず、黙っていた。
< 59 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop