私とあなたのMemory
家についても、自分の部屋へ直行。

だって、こんな顔お母さんに見せられないし。



「おかえり~。どうしたの?」


いつもと様子が違う娘の姿を見て、
1階から、母が叫ぶ。


「ちょっと、だるい。」


嘘をついた。



タンタンと、階段を上がる音がする。


母が部屋にやってくる。


マズイ・・・。



慌てて布団をかぶり、顔を隠す。



ドアが開いた。


「大丈夫?」


心配してくれている。

ごめん、嘘だよ。


嘘をつくのは心が痛む。


「うん。もう、寝るね。」



「ご飯は?」



「いらない。」



わかった。と言って、母は部屋から出て行った。


今は、PM7:00寝れるはずがない。


無理に寝ようとしても、寝られない。



ウォークマンを手に取り、曲を流した。






この曲・・・。


最初に流れた曲は、初めて一緒にカラオケに行った時
リョウが歌ってて、


いいなって思った曲だった。



目をつぶれば、歌っているリョウの姿が浮かぶ。



マイクを強く握りしめて、
バラードだというのに、こぶし握って、




感情をこめて、歌っている。



ふふっと、笑いが自分の中で起きた。


あんなだったな、リョウ面白い。


部屋で、一人でにやけていた。


でも、すぐ現実に引き戻されたのはドアをノックされる音が聞こえたからだ。



「なに?」


「はいるわよ。」


母だった。


右手に受話器を持っていた。



「リョウ君からよ。」


平静な顔をして母が言う。

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